@高齢者施設
「セーターをほどいて、何度も何度も編みなおして兄弟全員で着たのよ」
「靴下の穴を何度も塞いで、なくなるまで履いたわ」
とおっしゃる裁縫上手だった方も、今は目や指が思うように動かない。
当たり前にできた事が出来なくなったと気付く時、きっと本人が一番辛いだろうなあ。
「最近はもう既製品ばかり・・」と、久々に触る毛糸にすごい笑顔をなさっている。
アートセラピーのセッションでは、基本ファシリテーターやセラピストとして寄り添うのですが、
美術の授業のような感覚?で、「先生!先生!」と呼んで下さる方がいらっしゃいます。
○さん「先生。ここ結んでください」
れ「はい、かしこまりました」
ああ・・・本当はご本人やりたいんだろうなあ・・・
ん、
んん?
ん、ん・・ん?あ、あ、あれあれえ??!
実は手芸や美術はものすごい不器用な私。。。
ピアノの華麗な指さばきが嘘のよう。。。
たかが毛糸を結ぶことが出来ず、四苦八苦。。。。。。。滝汗
(わあー超ガン見されてる!!やばい!!)
(こんなのも出来ないのに先生って言われてるし、どう思われてるんだろう・・・)
(またほどけたー!ぎゃー!)
れ「すみません。。。お待たせしてしまって。。。実はわたし不器用で。。。これとっても難しいですね。。。」
○さん「いえいえ、弘法にも筆の誤りですよ」
じーん・・・。
しかも比喩が素敵すぎる。
・・・そして散々四苦八苦した後、
れ「わあ結べた!!○さん!!できた!できましたよーーーーーー!!」
○さん「わあ、先生すごいすごい!(パチパチ拍手)」
ん・・?? 一体どっちが先生だろ。。。まあいいか。
出来ない事を出来ないって言う事。
出来ない自分と出来ない相手と素で向き合う事。
そうすると素晴らしい体験が産まれるんだなあ。
セラピーの現場は出来ない事からも素敵な事が沢山起こります。
今日の一語
【弘法にも筆の誤り】
《読み方》
こうぼうにもふでのあやまり
《意味》
どんな名人でも、時には失敗することがあるということ
産まれながらに人間は人生の名人!あっぱれおばあちゃん!あっぱれ自分!